サマリー
◆家計の「貯蓄から投資へ」は進展しているのであろうか。本稿では家計金融資産の動向に関して資金流入の進む投資信託を中心に分析するとともに、今後「貯蓄から投資へ」が進展する可能性について論じる。
◆家計の金融資産売買動向を見ると、2013年以降投信への投資を増やしている。株式や公社債の売買は売り越し超になっていることから、投信を経由した株式や公社債の間接保有が進んでいるといえる。
◆投信における資金の流入先の傾向を見ると、①「債券型から株式型へ、債券型の中でも為替ヘッジ無へ」の本格化、②新興国投信から先進国投信へのシフト、という二点が指摘できる。これら二つの傾向は投資家のリスク許容度の高まりを示唆しており、今後も投信へのさらなる資金流入が期待できよう。
◆今後の注目点は、証券投資に関する軽減税率の終了に伴う投信解約の増加であろう。実際に解約額は高水準で推移しており、MRF・流動性預金等の待機資金も増加している。ただし、①分配金増加に伴う基準価格の低下や、②毎月分配型による含み益の抑制という背景から、軽減税率終了に伴う大幅な資金流出は考えにくい。
◆待機資金の受け皿としては、2014年開始の少額投資非課税制度(NISA)の導入が期待される。NISA導入による投信市場への影響は緩やかなものになると考えられるが、認知度の高まりや制度整備の進展に伴い、NISAを通じた「貯蓄から投資へ」の進展が期待できると言えよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
大和のクリプトナビ No.2 暗号資産価格のリターン・ボラティリティ・相関の特徴
過去のリターンは、将来のリターンに対する一定の予測力が存在
2025年04月15日
-
大和のクリプトナビ No.1 暗号資産価格の歴史的推移
需給の影響を受けやすく、足元では政策や機関投資家の動きも影響
2025年04月10日
-
「職場つみたてNISA」の仕組みと導入意義
ファイナンシャル・ウェルビーイングの向上も期待
2025年03月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日