金融法人及び年金基金におけるオルタナティブ投資・バーゼルⅢの実態調査

2012年度オルタナティブ投資アンケート結果

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2012年11月16日

サマリー

◆大和総研では、全国の124金融法人(都市銀行、信託銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、生保・損保)及び128の年金基金(厚生年金基金、企業年金基金、公的年金)を対象にオルタナティブ投資状況のアンケート調査を実施した。

◆本アンケートは2005年度の開始以来8回目となる。調査の実施期間は2012年8月上旬から9月中旬、全国の年金基金(1,172基金)・金融法人(332社)を対象として、原則、郵送形式で実施した。金融法人については、市場金融部門及び経営企画部門から別々に回答を得ることで、投資家・発行体としてのスタンスの違いを区分けしている。

◆アンケートは全部で70項目にわたり、以下の分類で集計している。
[1]オルタナティブ投資全体・AIJ問題以降の運用の方向性
[2]バーゼルⅢの実態調査、バンク・ファイナンス(コンティンジェント・キャピタル、カバード・ボンド)
[3]再生可能エネルギー投資
[4]アジア・エマージング投資
[5]リアルアセット投資(不動産を除く)
[6]ヘッジファンド投資
[7]不動産投資
[8]プライベートエクイティ投資
[9]クレジット・ストラクチャ-ド投資(証券化商品等)

◆年金基金では、AIJ投資顧問の年金資産消失問題(以下、AIJ問題)以降のオルタナティブ投資の動向が注目されたが、現段階では大きな投資比率の変化もなく解約等は少ない結果となった。無論、その要因として、国内株式市場の低迷により、他の選択肢が無く、オルタナティブ投資へ振り向けざるを得ない事情も見え隠れしている。

◆対照的に金融法人では、投資家は増加しているものの、ヘッジファンド等の主要なオルタナティブ投資戦略は解約が先行しており、軒並み投資比率が減少した。全体的にポートフォリオのリスクオフ傾向が強まり、更に国債投資へ傾斜する姿勢が鮮明となったといえよう。

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