米国の企業年金の資産運用動向

米国の確定給付型年金(DBプラン)は、株式市場が回復し、足元のパフォーマンスが向上しても、債券投資へのシフトはより鮮明になってきた。

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2011年06月27日

  • 森 祐司

サマリー

◆Pensions & Investmentsの調査によれば、米国の確定給付型年金(Defined Benefit Pension Plan 以下DBプラン)の資産配分において、国内株式から外国株式あるいは米国債券にシフトさせる動きが、ここ数年続いていることが明らかとなった。米国DBプランでは投資実績のあまりないヘッジファンドへの投資といった動きも見られるが、全体的な資産配分比率で見るとまだ大きくはない。タイプ別で見ると、企業年金は国内株式を国内債券に、公務員年金は国内株式から外国株式へのシフトが特徴的である。

◆米国DBプランでは金融危機によって、DBプランの資産運用が抱えるリスクの大きさを再認識した。また、これまでのリターンを重視した運用姿勢から、年金負債の変動をより意識した運用へと変化してきている。DBプランの株式から債券へとシフトさせる動きの背景には、このようなリスクへの意識が強まっていることがある。さらに、将来的には規制環境、特に国際会計基準の変更などをにらみながら、LDI(年金負債対応投資)の導入や、資産配分を債券中心に変更するなど、負債変動をヘッジするような運用手法が広がっていくことが予想される。

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