2015年10月22日
サマリー
◆国内の経営・市場関係者にとって馴染みのある中期経営計画であるが、米国では日本のように体系的でまとまった経営計画や財務目標数値を発表する企業は少ない。日本ではTOPIX Core30社のうち25社が中期経営計画を発表しているが、日本型の中期経営計画に形式を限定すれば、米国ではNYダウ30社のうち2社が発表しているのみである。
◆このような違いはなぜ生まれるのだろうか。主な要因は(1)米国では業績ガイダンスの形式が厳格には決められていないこと、(2)米国の経営者は未達リスクの高い中長期経営計画を発表しにくいこと、そして(3)産業構造の変化を繰り返してきた米国では中期経営計画は経営戦略のひとつに過ぎないことの3点であると筆者は考える。
◆日本の投資家が企業に対し積極的な将来情報の開示を求める点は今後も変わりないと見られるが、コーポレートガバナンス・コードの導入などにより、日本企業が置かれる環境は米国型に近づいている。中期経営計画は市場関係者にとって重要な投資判断材料であり続けるが、その内容や形式については米国同様に企業独自の形式が広がるであろうし、広がるべきだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ROEの持続的向上のための資本規律の重要性
資本コストを真に意識した財務戦略への道
2025年05月02日
-
シリーズ 民間企業の農業参入を考える
第2回 異業種参入:持続的成長をもたらす戦略とは
2025年03月11日
-
中期経営計画の構成形式に関する一考察
企業の状況や経営の考え方を反映した最適な選択を
2025年02月12日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
よく読まれているコンサルティングレポート
-
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
-
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
-
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
-
ROEの持続的向上のための資本規律の重要性
資本コストを真に意識した財務戦略への道
2025年05月02日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
ROEの持続的向上のための資本規律の重要性
資本コストを真に意識した財務戦略への道
2025年05月02日
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日