2023年09月21日
サマリー
◆2023年3月期から、有価証券報告書の提出会社はサステナビリティ情報に関する開示が義務化され、その内容として「ガバナンス」「リスク管理」が必須の記載事項、「戦略」「指標及び目標」はその重要性に応じて記載することとなった。本稿では、今回新しく開示されることとなったサステナビリティ情報のなかでも、①環境(気候変動関連等)への取組みに関する開示、②社会(人的資本、多様性等)への取組みに関する開示、の大きく2つの視点から、有価証券報告書における最新開示事例について概観することとした。
◆①環境(気候変動関連等)への取組みについては、調査対象企業のほとんどすべてがロードマップ等の時間軸を意識した開示を行っていた。一方で、シナリオ分析において、PL等財務に与える影響まで記載している企業は45%と半分弱の開示にとどまった。また、②社会(人的資本、多様性等)への取組みについては、自社固有の独自性まで打ち出せている企業が約6割という結果であった。
◆今回の内閣府令改正では、サステナビリティ開示について細かな記載事項をあえて規定しないことで、各企業の現在の取組み状況を柔軟に記載できるよう配慮がなされている。このため、企業が独自性のある取組み、開示を行っていけるかどうかが、投資家の評価ならびに消費者からの企業選別、ひいては中長期的な企業価値向上に向けたカギとなろう。
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