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ハードスキルとソフトスキルの最適化

2013年05月08日

経営コンサルティング第一部 主任コンサルタント 柳澤 大貴

企業経営において社員の能力開発やスキルアップは重要なテーマの一つである。それは研修や資格取得、職場での指導、自己啓発等を通じて組織や個人に浸透が図られる。社員に求められる能力を大きく分類するとハードスキルとソフトスキルに分けられる。一般的にハードスキルは体系化・形式化され可視化できるスキルである。例えば業務遂行に不可欠な専門知識や○○資格に代表される内容、あるいは○○業務の手順、マネジメントの理論などが挙げられる。ソフトスキルは非定形的で可視化が難しいスキルである。主に対人関係のスキルを示す場合が多く、交渉力やファシリテーション力、コミュニケーション力などがそうである。


ハードスキルは体系化された世界でテキストやマニュアルなども整備され、ある程度独学での習得も可能である。一方でソフトスキルは自らの経験や上司や先輩社員、あるいは外部講師などからの手ほどきが必要になる場合が多い。職務遂行を効果的かつ効率的に進めるためには両方のスキルの充実を図ることが重要であることは言うまでもない。どちらが大切であるかではなく、会社全体として最適化していくことがポイントである。


例えば機械を販売している営業マンを想定してみよう。自社製品の仕様、品質や特性、価格、保証条件などの専門知識やマニュアル化されたセールス・トークの手法や手順などの基礎能力はハードスキルである。パンフレットやデータなどの資料が用意され、形式化している。営業マン個々の熟練度や経験の差はあるにせよ一定レベルの製品知識は不可欠である。一方、顧客ニーズの聞き出しや効果的なプレゼンテーション、取引開始までの交渉力はソフトスキルである。個人差が出やすく、マニュアル化や形式化も難しい領域である。
もし営業マンの製品に関する知識が不足しているならば、まずハードスキルの習得が急務となる。いくらソフトスキルを駆使して交渉を繰り返しても商談が成立する見込みは薄い。一方で製品知識に精通した営業マンが交渉力のソフトスキルを磨くのであれば、商談成立の確率は高くなるはずである。


業務遂行に必要なスキルをハードスキルとソフトスキルという切り口で営業マンを分類してみる。

  1. ハードスキルとソフトスキル両方のレベルが高い
  2. ハードスキルのレベルは高いが、ソフトスキルのレベルは低い
  3. ハードスキルのレベルは低いが、ソフトスキルのレベルは高い
  4. ハードスキルとソフトスキル両方のレベルが低い

以上の4つのタイプに分類される。
理想は①のタイプである。②のタイプはソフトスキルのレベルアップが必要であり、③のタイプはハードスキルのレベルアップが必要である。④のタイプは両方のレベルアップが必要である。営業マンの場合でも個別のスキルアップニーズは微妙に異なるのが現実である。


ところが多くの企業の研修体系は初級営業研修、中堅営業研修というように一律にくくられている場合が多い。従って本当に必要なスキルアップの機会がタイムリーに提供されていない可能性が高い。この課題を解決するには社員個々のスキルの棚卸しを行い、不足している内容がハードスキルかソフトスキルかを把握することが出発点である。その上で必要な研修や指導の機会を提供することが重要である。このサイクルを回すことでハードスキルとソフトスキルの習得機会が最適化される。最適化により社員のスキルアップが効果的かつ効率的に実現される。その結果、スキルアップの成果が確実に業績に反映される組織風土が醸成されるはずだ。

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