生成AI(LLM)の進展と今後の動向

企業として活用する上での留意点

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  • フロンティア研究開発センター長 田中 宏太郎

サマリー

◆人手不足が深刻化する昨今、生成AI(AI:人工知能)はコスト削減、CX(顧客体験)の向上、新たな収益機会の創出等、企業の存続・競争力の強化に直結するため、その利活用は必須といえる。しかし現時点では生成結果について誤りや権利侵害等のリスクがあり、100%正解が求められる領域に生成AIのみで対処するのはまだ早い。あくまでもサポートツールとして用いるのが現実解といえる。

◆生成AIの一種である大規模言語モデル(LLM)の登場により、多くの企業が業務効率化の効果を実感しつつある。しかし特定業務への適合性向上や開発・運用費の低減等のため、分野・業種や日本語に特化したLLMを複数の企業・大学が提供し始めている。今後、様々な生成AIが利用可能になると思われるが、自社の業務に合った生成AIを見極め、選択していくことになろう。

◆LLMを用いて一層の業務効率化を行うためには、自社内のデータを有効利用できる仕組み作りが必要である。その際、AI利活用・AIシステム開発の原則やルールを策定し、社内外への開示やそれに基づく社員教育を行うことはリスク対策の基本である。

◆生成AIのリスクを回避・低減しながら有益に使いこなすためには、技術や法務等の多分野にわたる知見をもった人材の調達・育成が急務である。経済産業省のデジタル人材を育成するプラットフォームの活用や、関連する資格取得の推進等、人材育成に努める必要がある。

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