EU・フランスの金融取引税(FTT)の分析<現物取引編>

英国印紙税等、日本の有価証券取引税との比較による影響・問題点の検証

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2012年06月07日

サマリー

◆欧州委員会(欧州委)では、あらゆる金融商品やデリバティブの取引について、取引額に応じた税を課すFTT(Financial Transaction Tax)の導入を検討している。また、フランスでは、上場株式の取引額に応じた税を課すFTTについて、2012年8月からの導入が法定された。

◆現物の株式や債券などの取引に対して、取引額に応じて課税するスキームは、英国の印紙税等、日本のかつての有価証券取引税などの例がある。これらのスキームと比較することにより、現物取引に対する欧州委のFTT案とフランスのFTTについて考察する。

◆フランスのFTT(現物部分)は英国の印紙税等に近いスキームである。英国の印紙税等と比べると、フランスのFTTは課税対象も狭く、税率も低く設定されている。

◆他方、欧州委のFTT案については、問題が山積している。マーケットメイク方式における取引参加者の税負担が重くなることや、債券の取引およびレポ取引に大きな影響を与えうること、外国における取引の捕捉と徴収が困難であることなどが問題点として挙げられる。

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