PROXY ACCESS

2012年11月30日

解説

米国の株主総会において、株主が特定の取締役候補者の選任を株主総会議案として提案し、会社から株主に送付される書類に掲載することを請求できる権利のこと。会社が株主に送るProxy materials(委任状勧誘書類)に株主が提案する取締役候補者を記載することを認めることからPROXY ACCESSという。2010年7月に可決成立した米国金融改革法(ドッド=フランク・ウォール街改革及び消費者保護に関する法律:Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act)971条により制度化され、米国証券取引委員会(SEC: Securities and Exchange Commission)に規則制定を委ねられたが、未だ実施されていない。

従来は、SEC規則14a-8によって、株主提案が取締役の選任に関連するものである場合、その提案を会社側は除外することが認められてきた。米国金融改革法は、この例外としてSEC規則14a-11(※1)を設け株主のPROXY ACCESSを認めるというものだ。

規則14a-11は、ある会社の株式の3%以上を3年間以上継続して保有する株主(または株主グループ)は、取締役数の25%以下(または1名)の取締役候補者を提案し、会社が作成・配布する委任状勧誘書類(株主総会議案を詳細に説明する)に記載できるとされた。これによって、株主は低コストで取締役選任議案を争うことができるようになる。

SECでは、当初2011年の株主総会シーズンからの実施を予定していた。しかし、PROXY ACCESSに対する経営者団体の警戒感は強く、これが許されれば特殊な意図を持った者が取締役になり、むしろ企業価値を減少させるような経営判断を下す恐れもあるとして反発している。米国の経営者団体であるビジネス円卓(The Business Roundtable)は、PROXY ACCESS の内容や実施時期の再考を求めて提訴し、規則案の無効が決定された(※2)。新たな規則案の制定作業は遅延しており、SECのシャピロ委員長は、新たな規則案の提案は予定に挙がっていないと述べている(※3)

(※1)Final Rule: Facilitating Shareholder Director Nominations
(※2)黒沼悦郎「株主の選挙提案を認めるSEC規則の無効化」商事法務1974号55-59頁(2012)
(※3)“SEC's Schapiro: Won't revisit proxy access rule soon”(ロイター2012年4月25日)

(2012年11月30日掲載)

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