配偶者加給年金の廃止は妥当か

65歳未満の配偶者分の年金を保障する必要性は低下

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2023年11月02日

サマリー

◆加給年金は、厚生年金の受給者に配偶者や子がある場合に、一定要件のもとで加算される「家族手当」である。本レポートでは、特に配偶者が対象となる加給年金について、制度廃止の可能性について考察した。

◆昭和29年に制度化された当初、加給年金は配偶者や子がいる世帯の生活の安定が目的だったが、次第に専業主婦である妻の年金保障という側面を強めていった。だが、共働き世帯が増える中、65歳未満の配偶者の分も年金を支給する(または、保障する)必要性は低下している。また、配偶関係や夫妻の年齢差で受給の有無や受給額が決まる配偶者加給は、不公平感を生じさせていると言える。

◆配偶者加給については、制度廃止を求める声は少なくない。女性の労働参加が進む中、50~60歳代女性の就業状況を踏まえると、将来的に配偶者加給を廃止する方向性で検討することは妥当と考える。

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