公的年金の好調な運用実績は将来の受給水準を押し上げるか

試算では所得代替率が1.3%pt改善する結果に

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2023年03月22日

サマリー

◆2024年夏頃には5年に1度の公的年金の財政検証が予定されている。モデル年金の所得代替率(現役世代の平均手取り収入額に対する比率)など、将来の給付水準や年金財政の見通しなどが公表されるため、注目度は高い。

◆公的年金のこれまでの保険料収入のうち給付等に充てられなかったものは、積立金として金融市場で運用されており、年金財政の安定化に活用される。近年の積立金の運用成績は好調で、前回の2019年の財政検証の結果にこれを反映すると、最終的な所得代替率は50.8%から1.3%pt改善し、52.1%になると試算される。

◆ただし、年金財政には人口動態や賃金動向が大きな影響を与える。少子高齢化の一層の進展や、賃金停滞の長期化が見込まれれば、将来の年金財政の姿も悪化する。政府内では積立金の計算方法の変更も議論されており、次回の財政検証で必ずしも所得代替率が改善するとは限らない。

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