2021年07月08日
サマリー
◆政府は、年金受給額の目安として、夫が40年間厚生年金に加入し、妻は40年間専業主婦である世帯を前提とした「モデル年金」を算出し、その将来見通しとともに公表している。しかし、若い世代ほど夫婦の働き方は多様化しており、「モデル年金」が自らの世代が受給する年金額の平均像と乖離することが考えられる。
◆本レポートでは、「新モデル年金」として、就業の有無や形態を特に設定しない、より汎用的な「その世代における夫婦世帯の平均像」を想定し、各世代の男女それぞれの平均的な厚生年金加入実績を持つ夫婦世帯における年金額を試算した。
◆試算の結果、足元の新規年金受給者においては「モデル年金」と「新モデル年金」はほぼ同額であり、「モデル年金」は平均的な年金額の目安としてなお有用なものであることが分かった。しかし、後に生まれた世代ほど女性がより高い賃金水準でより長く働くことが想定されるため「新モデル年金」は「モデル年金」より高額になっていき、その差も開いていく。「モデル年金」は1980年以後生まれの世代が将来受け取る年金受給額の目安としては、あまり有用なものとなっていないものと考えられる。
◆「新モデル年金」では厚生年金の適用拡大による公的年金の充実を端的に示すことができ、長期の実質GDP成長率につき0%を見込む保守的な経済前提においても僅かながら年金額が増加していく見通しを示すことができる。政府には、「新モデル年金」を参考に、働き方の変化を踏まえた新たな年金受給額の目安の算出と公表を検討していただきたい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
iDeCoは広がったのか-加入実態と残る課題
2026年4月加入者数395万人、12月制度改正に注目
2026年06月16日
-
高齢者医療費自己負担への資産勘案に関する主要論点の整理
『大和総研調査季報』2026年春季号(Vol.62)掲載
2026年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

