サマリー
2019年9月、全世代型社会保障検討会議が設置され、全世代を支える社会保障制度の充実に向けた議論が始まった。制度の充実だけでなく、持続性という観点では、給付と負担の見直しの議論も不可欠だろう。この点、検討会議の議論は、高齢者を中心に制度の支え手を拡大することに軸足が置かれているようにみえる。ただ、既に高い日本の高齢者の就業率をさらに引き上げていくには課題も多い。
全世代型社会保障の実現に向けての大きな柱が働き方改革だ。65 歳までの雇用確保、長時間労働是正など一連の改革が進められてきたが、70 歳までの雇用確保については、個人差の大きい高齢者の就労に企業がどう対応するかがカギとなろう。高齢期の就労を阻害しない年金制度の見直しも重要だ。
他方、給付と負担のバランスが見直されれば、自助の重要性が増すことになる。これは、高齢の従業員の健康管理を強化する企業や、高齢者を支えるヘルスケアビジネスに参入する企業にとっては大きなチャンスであり、こうした企業の発展は、超高齢社会に活力をもたらす。どの世代にとっても暮らしの改善が実感できる改革の進展が望まれる。
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