サマリー
◆公的介護保険の整備が進んだこともあって、介護の費用を賄うための生命保険、損害保険、預貯金、有価証券等による私的準備の必要性はこれまで低かった。だが、公的介護保険の給付範囲の見直しや自己負担割合の引き上げ等が引き続き進められる可能性があることから、自己負担となる分を民間介護保険の加入等で補う動きが広がるだろう。
◆医療分野と比べて介護分野の私的準備は後れている。実際は、高額介護サービス費の対象にならない住宅改修などに思わぬ費用がかかるケースがあるほか、高齢期に介護が必要になる確率は医療以上に大きい。要介護になってもQOL向上に寄与する保険外サービスによる症状改善の効果が確認されるなど、介護に私的に備えることの必要性は高い。
◆介護サービス提供者にとっても、介護の私的準備が広がり、保険外サービスの利用が増加すれば収益機会が拡大する。介護市場が活性化して保険外サービスが充実することは、介護保険制度の改革をスムーズに進める上でもプラスとなろう。介護の私的準備を進めることは様々な視点から重要である。
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