サマリー
◆介護人材不足に関する様々な論点を数回のシリーズレポートで取り上げる。シリーズ1本目となる本稿では、外国人材の受入れに焦点を当てる。
◆国内での人材確保が難航する中、政府は海外からの介護人材の受入れを積極化する方針である。2018年6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」では、外国人材の受入れを拡大するため、新たな在留資格を創設する方針が示された。
◆新たな在留資格で求められる技能や日本語能力の水準は、現行の在留資格から大幅に緩和されたものになる。ただし、日本が受入れを期待している近隣アジア諸国の人材は、積極的に日本での就労を目指していないため、人材確保につながるかどうか不透明だ。近隣アジア諸国自身の高齢化が、継続的な人材の受入れの障害になることも懸念される。
◆日本の介護分野では、人手不足を補うための単なる労働力として外国人材に期待する傾向が強く、介護を成長産業としていくために外国人材を活用するという視点が不十分ではないか。日本の介護産業に変革をもたらす存在として外国人材が活躍する機会を増やすなどして、介護事業者の生産性を向上させることが望まれる。その結果、海外と国内の人材が日本の介護分野での就労を選択するようになることが期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日