平成の大合併の成果と課題
10年超経過して行財政基盤の確立は達成できたか
サマリー
◆平成に行われた市町村合併(平成の大合併)は、行財政基盤の確立を目的に推進された。市町村合併の評価は賛否が分かれるが、本稿では、目的が達成されているかどうかを確認した。
◆平成の大合併による市町合併件数は、市町村の財政事情を要因として特に2003~2005年度に急増した。町村の多くが合併により一般市へ移行し、人口1万人未満の小規模な市町村も減少したため、行政基盤の強化は一定程度達成したと評価できる。
◆財政面に関しては、2011年度に合併特例債の発行期限が延長されたため、2015年度時点では、2005年度以前に合併した市町村に対する財政優遇措置が続いており、合併効果の評価はできない。しかし、合併してできた市町村について、各合併年度比の2015年度の財政力指数を確認すると、合併年度よりも指数が上昇している市町村が多い一方で、既に財政力指数が低下している市町村も確認できた。
◆合併市町村は、2018年度以降、合併特例債の発行期限のほか、合併算定替も適用期限を迎える。優遇措置が無くなれば、財政力に不安のある合併市町村では、財政悪化が懸念される。そのような市町村は、合併特例債の発行期限の延長等を求めているが、市町村合併の成功事例を基に、さらなる市町村合併による財務基盤の強化を追求することも必要と考えられるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2017年10月31日
二次医療圏の再編はなぜ進まないのか
過去の医療計画の傾向分析から得られる示唆
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2018年04月25日
2017年度・持株会社導入レビュー
-
2018年04月24日
欧州経済アップデート(2018.4)
-
2018年04月23日
グラフで見る2018年3月の中国経済動向
-
2018年04月20日
2018年3月全国消費者物価
実質賃金と実質年金の低下が個人消費の重石へ
-
2018年04月26日
“遊び”をなくしても生産性は上がらない
よく読まれているリサーチレポート
-
2018年02月19日
コーポレートガバナンス・コード改訂
幾つかの開示事項が追加される見通し
-
2017年06月29日
民法(債権法)改正の重要ポイント
時効、法定利率、定型約款、個人保証の見直し
-
2018年01月09日
2018年以降の制度改正予定(企業法務編)
-
2017年11月08日
フェア・ディスクロージャー・ルール細則案の概略
2017年金商法改正関連シリーズ
-
2017年10月13日
20年後の生命保険業界の行方
~既存の生命保険会社は経済・社会構造の変化の波に耐えられるか~