2017年07月28日
サマリー
◆空き家は増加の一途を辿っている。空き家の増加は地域の人口流出の結果だけでなく、同時に人口減の原因にもつながっている可能性がある。それだけに、地域の存続を考える上で差し迫った問題であるが、費用面の問題などから、売却等に踏み切れないといった事情もある。
◆不動産特定共同事業法の改正法案が先の国会で可決・成立し、6月に公布された。参入要件を緩和した小規模不動産特定共同事業を創設するほか、一般投資家の出資が制限されていた特定事業への出資も一部可能となる。クラウドファンディングによる場合の契約締結前の書面交付が不要となる。これらの措置により、不動産証券化を通じた空き家再生の促進が期待される。
◆複数ある不動産証券化手法の中でも、空き家問題など地域の問題解決には、信託受益権の設定が求められない不動産特定共同事業による手法が適当とみられる。従来は要件が厳しく、地域の不動産会社が容易に参入できる環境になかったが、今般の法改正により、ボトルネックが改善されることで、地域で小規模の不動産証券化が進むとみられる。
◆政府としても、成長戦略、地方創生策、観光政策において、不動産証券化を推進している。課題はあるものの、地域住民等の「志ある資金」が不動産証券化を通じて空き家の再生に活用され、観光客等の受け皿となれば、まさに地方創生である。志ある事業者と志ある投資家の思いを最大限引き出せるものとなることを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地方銀行と官民連携まちづくりの課題
無担保・無保証・低収益という事業特性を踏まえた「地域金融力強化プラン」の論点整理
2026年03月10日
-
地方銀行の再編効果
高度化する銀行業における経営統合の意味
2025年12月05日
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
最新のレポート・コラム
-
日本は国際的な人材獲得競争で勝てるのか
外国人労働者の増加継続を見込むも経済下振れと円安がリスク要因
2026年04月07日
-
2026年2月消費統計
財は弱いもののサービスが強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2026年04月07日
-
原油高・リスクオフ下での新興国の耐性は
脆弱性が最も懸念されるのは南ア。耐性が高いのはブラジル
2026年04月06日
-
トランプ大統領「米国政府と契約したければDEIをやめなさい」
大統領令を発出し、米国政府の契約先企業によるDEIへの取り組みを精査・規制する方針を明示
2026年04月06日
-
「第3次オイルショック」発生リスクへの日本の対応は十分か
2026年04月08日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

