サマリー
◆人口減少が深刻化するなかで、地域の課題は山積している。介護や保育も課題ではあるが、かつては当然のように供給されてきた公共交通や小売店、ガソリンスタンドといったサービスの事業主体の減少は地域に大きな影響を及ぼすことが予想される。経済の縮小とともに、地域の存続さえ危ぶまれる事態となるのではないかとの見方もできる。
◆こうした状況に対して、経済産業省の「地域を支えるサービス事業主体のあり方に関する研究会」では、本年(2016年)4月にサービス事業主体の法人制度について報告書をまとめたほか、まち・ひと・しごと創生本部の「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」では、住民組織によるガソリンスタンドのサービスなども含む地域運営組織の検討がなされている。いずれも社会性と経済性を両立させる主体への期待が示されている。
◆社会性と経済性の両立に関する試みは現在、世界各国でなされているが、営利企業として採算度外視で事業を継続することは困難である。従って、必要とされるサービスについては、目的達成のための唯一の手段なのかという側面からも再考する必要がある。
◆大きく変貌を遂げる地域社会において、将来にわたり持続可能な地域を求めるのであれば、既存サービスの維持を図るだけでなく、提供者と利用者の構造変化及び技術進歩を踏まえた代替可能なサービスについても積極的に検討することが必要であろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日
-
地方創生10年 職種構成に着眼した東京一極集中の要因と対策
どうして若者は東京を目指すのか
2024年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日