2012年02月01日
サマリー
東日本大震災で大きな被害に遭った岩手県、宮城県、福島県の東北3県では、復旧・復興事業による歳出拡大、地方債発行額の増加により、財政状況が長期的に悪化する可能性が考えられる。それは、阪神・淡路大震災後、神戸市と兵庫県における地方債残高が高水準で推移していたことなど、財政状況が長期間にわたって悪化していた事例から想定される。
神戸市と兵庫県の財政状況の教訓を踏まえ、復旧・復興に係る資金を民間から広く調達することと、地方債発行のバリエーション(選択肢)を多様化させることにより資金調達コストを抑えることが求められる。
地方債発行のバリエーションの具体的な手法として、共同発行市場公募債、東北3県の共同発行地方債、カバード・ボンド、レベニュー債、住民参加型市場公募債などがある。
東北3県が地方債発行のバリエーションを多様化させることは、わが国における地方債マーケットの活性化に資するものと考えられる。また、その前提として、地方分権、国と地方の役割分担の明確化、地方自治体のモニタリングが解決すべき本質的な課題である。
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