介護分野の介護離職問題

両立支援制度の周知と働く環境の見直しが求められる

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2019年10月03日

サマリー

◆介護分野では介護離職が増加傾向にあり、その長期的な伸び率は産業全体を上回っている。これまで介護職員数は着実に増えてきたが、今後加速する高齢者の中での高齢化によって、要介護者の一層の増加が見込まれる。介護分野での介護離職がこのまま拡大すれば、介護人材不足の増加に拍車をかけ、産業全体の介護離職が増える懸念がある。介護問題を抱える介護職員が就労を継続できる環境整備が急務だ。

◆具体的には、第一に、介護休業や介護休暇などの両立支援制度について、現場の介護職員に周知することが必要である。制度を整備している事業所は多いものの、従業員にそれが認識されていないとみられるからだ。

◆第二に、賃金、人事評価・処遇のあり方、教育訓練・能力開発のあり方等を見直す必要もある。表面的には介護を理由とした離職であっても、背後では介護分野で働く上での様々な課題が関係していると考えられるからだ。介護と就労の両立が可能と考える介護職員と不可と考える介護職員とでは、働く環境や条件への満足度に明確な差異がある。

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