産業別に見た長時間労働の実態と課題

生産性向上による残業減少の成果を賃金に還元させる視点が必要

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2018年03月30日

  • 菅原 佑香

サマリー

◆企業における働き方の課題は、産業によって特性の違いがあるため、一律の改革を行うことには限界がある。各産業で、どのような課題があるのか、その実態と課題を踏まえたうえで、対応する必要がある。

◆2014年からの3年間を見ると、ほとんどの産業で週60時間以上の雇用者割合は低下している。ただ、産業によって、年次有給休暇取得率や週休制、年間就業日数等は異なっており、労働時間に影響を与えている。これらの実態を踏まえた政策や自主的な対応が、国や各企業には求められる。

◆残業が発生する理由としては、業務の繁閑が激しい、人員が不足している、仕事の性質や顧客の都合、といったことを掲げる企業が多い。確かに、人手不足感の強い産業では長時間労働者の割合が高い傾向がある。

◆定期給与に占める所定外給与の割合が高い産業においては、今後、業務の効率化等、労働生産性の向上が図られ長時間労働が是正された場合に、雇用者の生活水準が低下しないような配慮が必要である。長時間労働の是正は、労働生産性と賃金の向上という課題そのものである。

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