東日本大震災被災地向けアンケート結果の考察

復興にむけて、地域に密着したきめの細かい対応が不可欠

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2012年05月07日

  • 秋屋 知則

サマリー

◆未曾有の被害を出した東日本大震災発生から1年が経過した。あらためて被災地の現状について2月にアンケート調査を実施して総括を試みた。

◆アンケート調査では、被災地の各地方公共団体に調査票を郵送し、復興(復旧)計画の策定の有無、計画の実行状況に対する評価、各地方公共団体や被災地の住民にとって足りないもの、被災事業者にとって事業復興上、障害となっていることについて尋ねた。また、報道機関の報道姿勢や報道対象についても質問した。

◆回答した地方公共団体のうち、7割が「財源」が不足していると回答し、続いて「専門人材」や「職員の数」の不足を挙げた。被災地の住民にとっての不足では「雇用機会」、「生活資金」、「被災地の将来展望に関する情報」が多く挙げられた。被災事業者にとっての障害としては「風評被害」、「事業資金の不足」が突出した回答となっている。

◆各地方公共団体の多くは国に対して、特に除染や補償をはじめとする原子力災害対応について主導的な関与を求めている。市町村の立場から県に対しては、国との交渉窓口として市町村など地元の要望実現のための調整など、より積極的な役割を果たすことへの期待が大きい。

◆報道機関に対しては「客観的・正確」、「偏らない・多面的・公平」な報道を望む声が多い。それらを通じて「風評被害」を払拭することが期待されている。

本稿は、3月8日に発表した「『東日本大震災からの復興に関する地方公共団体アンケート』の集計概要と集計結果」の詳細版である。

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