OECDのデジタル課税案と今後の動向

2020年内の合意が紛争回避の鍵を握る

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2020年10月08日

サマリー

◆2020年9月22日に、OECD(経済協力開発機構)が導入を検討するデジタル課税の制度設計報告書案がリークされた。本報告書案は10月のOECDでの会合に向けた草稿であるが、2020年内の合意が目指されていることに鑑みると、策定が進められている制度設計の最終版と多くの部分で同一、もしくは類似していると考えられる。

◆デジタル課税が検討される背景として、ITの発展により現行の国際課税制度では対応しきれない問題が生じていることが挙げられる。GAFAに代表される多国籍企業グループは、市場国に物理的拠点を有していない場合、現行の国際課税制度では市場国で課税されない。この問題を改めようとするのが、「第1の柱」と呼ばれる枠組みである。

◆「第1の柱」を巡り、GAFA狙い撃ちは認めないという立場の米国と税収拡大を企図するEUの対立が激化している。OECD案では米国の主張も踏まえて、GAFAなどのITサービス(「自動化されたデジタルサービス」)に加え、ブランド品などの「消費者向け事業」もデジタル課税の対象とされている。一方で「消費者向け事業」の課税の詳細を見ると、多くの場合は納税額が0となり得る制度設計となっている。すなわち、課税対象の点からは、EUの主張を踏まえた制度設計が進んでいると評価できよう。

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