確定拠出年金改正法、一度廃案に

マッチング拠出導入は不透明に、拠出限度額は予定通り引き上げの見込み

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2009年07月21日

サマリー

◆「企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」(以下、改正法案)が、7月21日に衆議院が解散されたため廃案となった。この法案は政府・与党の2009年度税制改正大綱における確定拠出年金関連の改正を行うものであった。

◆企業型確定拠出年金においては、これまで事業主のみしか掛金の拠出が認められていなかったが、改正法案では一定の範囲で従業員による掛金の拠出(マッチング拠出)も認められ、これに所得控除という形で税制上の優遇が受けられることとしていた。改正法案ではマッチング拠出を2010年1月から可能にするとしていた。

◆確定拠出年金制度の拡充については民主党税制調査会長も賛成しているが、次期国会における同様の法案の成立や2010年1月からのマッチング拠出の導入の実現性は不透明となった。

◆拠出限度額の増額も2009年度税制改正大綱における改正事項であったが、こちらは法改正なしで実現できる。そのため、近日改正政令を公布し、当初の予定通り2010年1月より限度額増が実現される見込みである。

(※)改正法案に規定された確定拠出年金制度の改正内容については、拙稿2008年12月25日発表レポート「2009年度税制改正大綱—確定拠出年金制度—」で解説した内容とほぼ変わりません。本レポートでは法案の経緯について解説しています。制度改正による減税額や年金原資増加額の試算については、拙稿「2009年度税制改正大綱—確定拠出年金制度—」をご参照ください。

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