新住宅ローン減税、中低所得者への恩恵少なく

住宅ローン減税の年収別減税可能額の試算結果(概要版)

RSS

2008年12月22日

サマリー

◆2008年12月12日に、2009年度与党税制改正大綱が公表され、新しい住宅ローン減税の枠組みが決まった。

◆新制度では、現在160万円である累計最大控除可能額を一般住宅で500万円、長期優良住宅で600万円に拡大するものだが、500万円以上の減税が可能となるのは年収1000万円以上の世帯だけであり、中低所得者の減税可能額はもっと小さいものとなる。

◆現行制度(2008年入居分)と新制度(2009年入居分)を比較すると、年収700万円以上の世帯で減税効果が大きく増加している一方、年収600万円以下の世帯の減税効果は微増に留まる。

◆もし住民税からの控除に制約がなければ(所得税・住民税合計で500万円までという条件ならば)、年収500~600万円の世帯でも多額の減税が可能であった。

◆所得税のみからの控除では中低所得者の減税額が少なく「金持ち優遇」との批判があろうからと住民税からの控除制度が設けられたと考えられるが、実際には住民税からの控除に上限が設定されたため、中低所得者に対する恩恵は少ないものとなってしまった。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。