2022年01月26日
サマリー
◆新型コロナウイルスのパンデミックによる相場変動期を経て、SNS等のメディアは、投資詐欺の温床になりやすい、一部の株式の上昇を促し「風説の流布」を助長する等の懸念点を持つことがIOSCOによって再確認された。これらの問題は、SNS等のメディア利用者が相場変動期においてリスクオンの投資心理・行動を示す傾向がある場合、さらに深刻なものとなることが考えられる。
◆そこで本レポートでは、金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」を用いて、パンデミックによる相場変動期(主に日経平均株価等の下落期)の投資心理・行動と利用メディアの関係を検討した。その結果、多くのメディアを利用して投資に関する情報を収集している人々ほど、相場変動期にリスクオンの投資心理・行動を示しやすいことが分かった。また、SNSや動画サイトといった新たなメディアを多く活用する人々は、リスクオンの投資心理・行動を示す傾向がより顕著であることが確認された。
◆金融商品取引法や金融業界団体のガイドライン等は、投資意欲を不当に刺激するような広告等を禁止している。ただ、SNS等のメディアを活用することで獲得できる情報は、金融機関以外の第三者により発信・拡散されているものもあり、広告の規制の対象外となっているケースが多いと考えられる。SNS等の新たなメディアが持つ懸念点が再確認される中、それらにどのようにバランスの取れた対応を講じていくのかが、今後の行政や金融業界にとっての重要な課題となるだろう。
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