2018年01月26日
サマリー
◆2017年11月29日、米国労働省は、2017年6月9日から段階的施行が開始されているフィデューシャリー規則(Fiduciary Rule)について、その完全施行日を当初予定されていた2018年1月1日から1年半延期し、2019年7月1日にすることを正式に公表した。労働省は、フィデューシャリー規則の完全施行日を延期したことにより、トランプ大統領の指示に基づく同規則の見直しのための十分な時間的猶予を得たものと思われる。既に施行されている規則の大幅な見直しは想定されていない一方、未施行の規則については、改正ないし廃止など大幅な見直しの可能性もある。
◆一方、トランプ政権のもとで任命されたSECのクレイトン委員長は、労働省の規則とは異なるSEC独自のフィデューシャリー基準(投資アドバイザーとブローカー・ディーラーに適用される統一フィデューシャリー基準)の策定を進めている。労働省とSECはそれぞれの規則等を策定するに当たり連携することが想定されている。ただし、両方の規則が並存するのか、あるいは、ブローカー・ディーラーに対して本来的管轄権を有するSECの規則が優先するのかなどについては現時点では不透明である。
◆労働省とSECがどのように連携して、利益相反となるアドバイスを排除し、顧客の最善の利益の実現に資する規則を制定するか、今後もその動向を注視する必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日