米国国債格付とバーゼル規制

リスク・ウエイト引上げまでは、まだ余裕あり

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  • 吉井 一洋

サマリー

◆2011年8月5日、スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(以下「S&P」という)※は、米国の長期国債の格付を、「AAA」から「AA+ネガティブ」に変更した。

※S&Pは金融商品取引法上の無登録格付機関

◆バーゼル規制の標準的手法では、米国国債の「AA+」の格付は、リスク・ウエイト0%の水準である。米国国債の格付が「A+」となった場合は、リスク・ウエイトは20%となる。その際には、銀行等向け債権も、ソブリンに連動させる方法を採用している国・地域(わが国も含む)の場合は、リスク・ウエイトは50%に引き上げられる。しかし、「A+」に至るまでには、「AA」、「AA-」といった格付があり、まだ余裕がある。米国国債について複数の適格格付機関の格付がある場合は、2番目に低いリスク・ウエイトが適用されるし、カントリー・リスク・スコアを利用できる場合もある。

◆なお、米国の銀行等においては、バーゼル規制(いわゆるバーゼルⅡ)の標準的手法は導入されておらず、内部格付手法採用行以外は、米国国債には0%、米国の銀行等向け債権には20%のリスク・ウエイトが適用されている。

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