2017年03月27日
サマリー
◆最高裁平成28年12月19日大法廷決定(以下、最高裁決定)は、相続財産中の預貯金債権が遺産分割の対象となるか争われたケースについて、共同相続された普通預金、通常貯金及び定期貯金債権は、相続開始と同時に当然に分割されず、遺産分割の対象になると判示した。これは、従来の判例を変更するものであり、旧判例下で構築されてきた実務に与える影響は少なくない。
◆実務への影響を検討すべき論点としては、①遺産分割の内容(特に特別受益者がいる場合)、②遺産分割前の一部の相続人による預貯金の払戻しの可否、③相続開始後に預貯金口座に入金された金銭の取扱い、④相続開始後の口座解約等の取扱い、⑤銀行など債権者による相殺・差押えの可否、⑥普通預金、通常貯金及び定期貯金以外の預貯金(定期預金、定額貯金)や可分債権(貸金債権など)の取扱いなどを挙げることができるだろう。
◆本レポートでは、最高裁決定の概要を解説した上で、上記の実務上考えるべき論点について私見を交えて説明する。
◆また、現在法務省の法制審議会民法(相続関係)部会で検討されている改正案の審議状況についても紹介することとする。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
東証投資単位引き下げで変わる株主総会
議決権1つの価格が下がれば、株主提案権も「大安売り」に
2025年04月28日
-
社外取締役の選任状況から見る課題と対応
取締役会のスリム化、兼任を含む企業ごとのアプローチの検討が必要
2025年04月11日
-
株主提案権制度の改正提言相次ぐ
議決権300個で株主提案ができる現行制度の改正を期待する声
2025年03月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日