2014年12月01日
サマリー
監査役会設置会社において、強力な権限を有する監査役と比較して、肩書のない純然たる「取締役」は、実のところ「取締役会」という合議体の単なる一構成員にすぎない。合議体の単なる一構成員にすぎない者の属性(独立性、社外性)が、どうしてコーポレート・ガバナンス上の重要な論点なのか? これが本稿の問題意識である。
「社外」取締役に期待される役割に関しては、一般に、経営に対する評価・監督や利益相反への対応が挙げられることが多い。特に、市場ルールとしての取引所規則が要求する「独立」取締役の場合、そうした役割を「一般株主の利益保護」という観点から果たすことが期待されている。
こうした期待に応えるためには、取締役会が監督機関として十分に機能する必要があるが、これには会社法の「株主総会中心主義」が一つのハードルとなり得る。これを克服するには、株主総会の機能の一部委任、監督と執行の分離、「独立」取締役によるキャスティングボートといった環境整備が求められる。特に、「独立」取締役が少数にとどまる場合、「独立」取締役が適切な判断を下すために必要な情報が提供されること、その活動内容が「投資者」「市場」から「見える」ようにすることが望まれる。
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