売上減少か?-「収益認識に関する論点の整理」

工事進行基準や出荷基準が認められず、収益認識が遅れる可能性も

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2009年10月16日

  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆企業会計基準委員会(ASBJ)は、2009年9月8日付にて「収益認識に関する論点の整理」を公表した。この論点整理は、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)が2008年12月19日にディスカッション・ペーパー「顧客との契約における収益認識についての予備的見解」を公表し、共同で収益認識に関する会計基準の見直しの検討を進めていることを踏まえて、今後わが国でも収益認識に関する会計基準を整備することを目的として公表されている。

◆ディスカッション・ペーパーでは、個々の財やサービスに対する支配が顧客に移転した時点で一律に収益認識を行うことが提案されている。この提案に従うと、従来からわが国において認められてきた出荷基準や、2009年4月1日以後開始する事業年度から一定の工事契約について適用が強制されている工事進行基準が認められず、収益認識の遅れにより従来からの処理によった場合に比して売上が減少する可能性がある。

◆ASBJは、2009年11月9日までこの論点整理に対するコメントを募集する。

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