サマリー
◆2022年12月13・14日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の3.75-4.00%から4.25-4.50%へと0.50%pt引き上げられた。0.50%ptという利上げ幅は、5月のFOMC以来5会合ぶりとなり、3月から始まった今回の利上げフェーズで初めて利上げ幅が縮小されたことになる。今回の0.50%ptの利上げは、事前に示唆があったことから、市場参加者にとってサプライズとはならなかった。
◆12月のFOMCでの利上げ幅が想定通りとなったことで、最大の注目点は今後の利上げペースとなった。FOMC参加者によるFF金利予想(ドットチャート)の中央値は2023年末が5.125%、2024年末が4.125%、2025年末が3.125%となった。インフレが依然として高水準で推移する中で2023年内は計0.75%ptの利上げが予想される一方で、インフレが相対的に落ち着いていく2024年、2025年はそれぞれ計1.00%ptの利下げが見込まれている。
◆こうしたFOMC参加者の予想は、2023年は引き締め的な金融環境が続くことで実質GDP成長率は潜在成長率以下で推移し、失業率の上昇に見られるように労働需給のタイトさが緩和することでインフレ上昇圧力が和らぎ、インフレも減速していくという従来の見方に基づいている。しかし、こうした見方には不確実性も残る。2023年内に想定されている0.75%ptの利上げで、労働需給が緩和し、インフレ圧力が十分に和らぐかは不透明である。また、FOMC参加者の多くが想定しているプラス成長を維持したままでの失業率の大幅な悪化という前提は、過去や市場予想と比べても楽観的に映る。パウエルFRB議長も記者会見でターミナルレートの再引き上げを示唆したように、2023年の金融政策運営も今回のドットチャート通りにはならない可能性、特にタカ派化の可能性を十分に認識しておく必要があるだろう。
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