サマリー
◆9月のCPIが市場予想を上回る強い結果となったことで、11月のFOMCでは0.75%ptの利上げを継続する可能性が高まった。他方、9月のFOMC議事録では、FOMCが必要以上の金融引き締めを実施し、景気を過度に冷やしてしまうことへの懸念が示された。FOMCが急ピッチで金融引き締めを進めてきたことによって、既に需要は抑制され始めている。米国の自律的な成長を表す実質民間最終需要は、金利敏感項目(=実質耐久財消費+実質設備投資+実質住宅投資)が落ち込んだことで減速傾向にあり、先行きも同様の構図が続くと見込まれる。
◆米国経済は金融引き締めによって自律的な成長が抑制されていることから、世界経済の減速や金融環境の無秩序なタイト化など外部からのショックに対する耐性は低下している。景気の下振れリスクが高まる中で、11月以降のFOMCでは、先行きの利上げ幅の縮小に向けた地ならしが注目点となる。米国経済の先行きは、①足下で加速するコアサービス価格に関して、先行きの減速兆候を政策判断に加味するのか、②大幅利上げ以外で、引き締め的な金融環境を維持するための手段をどのように用意するか、といった利上げ幅縮小の議論における難問をFOMCがいかに解決していくかにかかっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日