サマリー
◆2022年5月3・4日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の0.25-0.50%から0.75-1.00%へと0.50%pt引き上げられた。利上げは3月のFOMCに続き2会合連続となり、政策金利の引き上げ幅(0.50%pt)は2000年5月以来の大きさとなった。
◆利上げに加えて、今回のFOMCでは6月1日からのバランスシートの縮小(QT)の開始も決定された。FRBが保有する国債に関して、毎月の減額のキャップを当初は300億ドルに設定し、3ヵ月後の9月に毎月600億ドルまで引き上げることとなった。エージェンシー債・MBSについては、毎月の減額のキャップを当初は175億ドルに設定し、3ヵ月後の9月に毎月350億ドルまで引き上げることとされている。
◆今回のFOMCにおける0.50%の利上げとQT開始の公表に関して、市場は概ね織り込み済みであり、大きなサプライズはなかった。むしろ、注目点は足下の景気・物価判断と、今後の利上げペース、そして、中立金利水準及び最終的な金利水準(ターミナルレート)に対する認識であった。パウエル議長は、足下の景気が堅調であり、インフレ圧力は引き続き強いとの認識の下、少なくとも、7月のFOMCまでは毎回0.50%ptの利上げを実施する可能性を示唆した。ただし、市場が注目する0.75%ptの利上げに関しては、否定的な姿勢を示した。
◆ターミナルレートに関しては、まずは中立金利水準(2-3%程度)まで利上げを迅速に進めた後、インフレ見合いで更なる利上げを躊躇しないことが示唆された。市場は足下ターミナルレートを3.4%程度と捉えており、中立金利水準までFRBが金利を引き上げた後も更に利上げを推し進めるバッファーは残ることになるだろう。
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