米国経済が抱える長期的課題

~米国は今後どう変わるか、労働問題を中心に~『大和総研調査季報』 2012年春季号(Vol.6)掲載

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2012年07月02日

サマリー

2008~09年にかけての金融危機に端を発する深刻な景気後退から約2年半が過ぎているが、米国経済の回復力は芳しくない。特に、個人消費は過去の景気回復局面の半分程度のスピードにすぎない。その背景には、雇用環境の改善が依然として道半ばである点が関係していよう。今年11月に大統領選挙を控え、景気や雇用に対する有権者の関心は高い。

足元で雇用者数の増加ペースは加速しているが、賃金上昇率に表される質の改善には至っていない。同様に、失業率は低下しているものの、失業期間が1年以上の超長期失業者が全体の約3割を占めるなど、質の悪化は解消されていない。一方、高齢者と若者では置かれている状況が異なり、後者の方がやや厳しいといえよう。

雇用創出を巡っては、米国内と海外の争いだけでなく、米国内の争いも激しくなっており、いかに雇用を生み出す企業を誘致できるかを競っている。その結果、企業にとって優位な労働市場がしばらく続くとみられる。米国は今後どう変わるか、そして変われないのか。労働問題の観点から展望する。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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