サマリー
◆昨年終盤から金融市場に台頭していた見通しを一言で表現するならば、「適温経済」-すなわち①世界経済の底入れ、②金融緩和の継続、③不確実性低減の三条件が揃う中で、広範な金融資産の価格上昇基調が維持される環境の示現だったといえるだろう。そしてこの金融資産価格の上昇が資産効果を伴い、世界経済が本格的な景気拡大軌道に転じていくシナリオを描くことも不可能ではない。しかしこのシナリオ実現に向けては、いくつかの注意書きが伴う。
◆第一に、世界経済の底入れには未だ時間を要する公算が大きい。とりわけ先進国を中心として資本財・耐久財需要の減退が深刻化している点に注意が必要だ。第二に、低インフレ持続が金融緩和継続の前提条件となるが、この文脈において資源価格等の動向に注意を払う必要がある。また、FRBが行っている資産購入プログラムの継続可否も不透明だ。第三に、米国の大統領選挙・議会選挙で民主党が完全勝利した場合、法人税増税の可能性が高まる。また、選挙戦を有利に進める上で現職トランプ大統領がドル安誘導に踏み切るリスクも無視できない。現時点で実現可能性が高いリスクばかりではないが、その所在を認識しておく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2020年の日本経済見通し
成長再加速に向けて鍵を握る、グローバルな製造業の回復シナリオ
2019年12月19日
-
「逆イールド」が目前に迫るFRBの最終手段
残された唯一の選択肢は「ステルス・逆・ツイスト・オペ」
2019年04月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年8月号(No.465)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年07月23日
-
回復感なき経済成長は続くのか
2025年07月23日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日