サマリー
◆メインシナリオ:日本経済は着実な回復軌道へ:日本経済は2012年11月を底に回復局面に入ったが、今後も着実な景気拡大が続くとみられる(→詳細は、熊谷亮丸他「第178回 日本経済予測(改訂版)」(2013年9月9日)参照)。安倍政権の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)は日本経済再生の起爆剤となり得る適切な経済政策であり、とりわけ金融政策は着実に成果を上げている。なお、当社は、①長期金利が上昇すると「アベノミクス」は全体としてマイナスの効果をもたらす、②インフレが進行する中、雇用者所得が増加せず、「アベノミクス」で国民の生活は苦しくなる、という「アベノミクス」に対する2つの批判は根拠が薄いと考えている。今後の課題として、安倍政権は、①社会保障制度の抜本的な改革などを通じて財政規律を維持すること、②規制緩和、法人実効税率の引き下げを断行し本格的な成長戦略を強化すること、などに積極的に取り組むべきであろう。
◆日本経済が抱える4つのリスク要因:今回のレポートでは、日本経済が抱えるリスク要因について検証した。今後の日本経済のリスク要因としては、①新興国市場の動揺、②中国の「シャドーバンキング」問題、③「欧州ソブリン危機」の再燃、④地政学的リスクを背景とする原油価格の高騰、の4点に留意が必要だ。特に、当社は、上記①が、②・③と密接な関連を有している点を強調したい。本レポートでは、「世界景気サイクル」を検証した。世界の景気サイクルを見ると、過去の局面では米国を中心とする先進国経済が、新興国経済変動の原動力となってきたが、足下では、「先進国=好調。新興国=不調」という形で、両者の間で「デカップリング」が生じている。今回の「デカップリング」発生の原因は、①欧州危機に伴い、欧州系金融機関の新興国に対する融資が細っていること、②中国経済の低迷、③米国が拙速な出口戦略を講ずることへの警戒感を背景とする新興国からの資金引き揚げ懸念、の3点である。米国経済の拡大が続く中で、新興国経済の底割れは回避される見通しであるが、とりわけ中国経済の動向には細心の注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年10月号(No.479)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州
2026年09月18日
-
金利上昇が問う財政への信認
2026年09月18日
-
日本経済見通し:2026年9月
「戦後最長」見込みの令和の景気拡大、その特徴と課題
2026年09月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

