サマリー
◆経済見通しを改訂:2013年4-6月期GDP二次速報を受け、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2013年度が前年度比+3.0%(前回:同+3.0%)、2014年度が同+1.2%(同:同+1.2%)である。当社は、経済見通しの前提条件として、3兆円規模(真水ベース)の2013年度補正予算編成を想定している(→詳細は、熊谷亮丸他「第178回 日本経済予測(改訂版)」(2013年9月9日)参照)。
◆メインシナリオ:日本経済は引き続き拡大:日本経済は2012年11月を底に回復局面に入ったが、今後も着実な景気拡大が続くとみられる。安倍政権の経済政策(いわゆる「アベノミクス」)は日本経済再生の起爆剤となり得る適切な経済政策であり、とりわけ金融政策は着実に成果を上げている。今後の日本経済は、①米国経済の拡大、②復興需要の継続と大型補正予算の編成、③日銀の大胆な金融緩和を受けた円安・株高の進行、などに支えられて景気拡大が継続する見通しである。今回の景気回復局面は、株高に伴う消費者マインドの回復などを背景に、個人部門が好調であった点が特徴的だ。他方で、所得環境、輸出、設備投資の改善は相対的に遅れ気味だとみられてきたが、これらの分野も過去の日米両国の景気回復局面と比べて大きく見劣りするものではない。なお、当社は、①長期金利が上昇すると「アベノミクス」は全体としてマイナスの効果をもたらす、②インフレが進行する中、雇用者所得が増加せず、「アベノミクス」で国民の生活は苦しくなる、という「アベノミクス」に対する2つの批判は根拠が薄いと考えている。今後の課題として、安倍政権は、①社会保障制度の抜本的な改革などを通じて財政規律を維持すること、②規制緩和、法人実効税率の引き下げを断行し本格的な成長戦略を強化すること、などに積極的に取り組むべきであろう。
◆4つのリスク要因:今後の日本経済のリスク要因としては、①新興国市場の動揺、②中国の「シャドーバンキング」問題、③「欧州ソブリン危機」の再燃、④地政学的リスクを背景とする原油価格の高騰、の4点に留意が必要である。
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