日本経済見通し:黒田日銀新総裁、鮮烈なデビューを飾る
メインシナリオでは景気回復を見込むが、4つのリスクに要注意
2013年04月19日
サマリー
◆黒田日銀新総裁が鮮烈なデビューを飾る:「異次元の金融政策」を標榜する、黒田東彦・日本銀行新総裁が鮮烈なデビューを飾った。4月4日に新生・黒田日銀が決定した金融緩和は、金融市場の事前予想を大幅に上回る大胆な内容であった。「黒田マジック」を受けて、ボールは完全に政府に投げられた。今後、安倍政権にとっては、①成長戦略の強化、②財政規律の維持、③雇用者の所得環境を好転させること、という3点が課題になるだろう。
◆日本経済のメインシナリオ:日本経済は2012年3月をピークに景気後退局面に入ったものの、2012年11月をボトムに景気は底入れしたとみられる。今後に関しても、日本経済は、①米国・中国経済の持ち直し、②復興需要の継続や大型補正予算の編成、③日銀の「インフレ目標」導入を受けた円安・株高の進行、などに支えられて景気拡大が継続する見通しである。上記③に関連して、当社は、現状の為替市場は過度な円高を修正する局面にあると捉えている。また、実体経済との比較からは、現状の株価が依然として過小評価された水準にある可能性が示唆される。
◆日本経済のリスク要因:今回のレポートでは、日本経済のリスク要因について検証した。今後の日本経済のリスク要因としては、①イタリア・スペインの政局不安などをきっかけとする「欧州ソブリン危機」の再燃、②日中関係の悪化、③米国の財政問題、④地政学的リスクを背景とする原油価格の高騰、の4点に留意が必要である。
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