サマリー
◆経済見通しを改訂:2011年7-9月期GDP二次速報を受け、2011-12年度の成長率見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2011年度が前年度比▲0.3%(前回予想:同+0.5%)、2012年度が同+1.8%(同:同+1.8%)である。今回のGDP二次速報発表のタイミングで、国民経済計算(SNA)が従来の2000年基準から2005年基準へと改定されたことなどを受け、経済見通しの改訂を行った(→詳細は、熊谷亮丸他「第171回 日本経済予測 改訂版(2011年12月12日付)」参照)。
◆日本経済のメインシナリオ:今後の日本経済は、メインシナリオとして、東日本大震災発生に伴う「復興需要」に支えられて緩やかな景気拡大が続く見通しである。当社の試算では、復興関連予算は、2012年度の実質GDPを1%弱押し上げることが期待される。さらに、「資本ストック循環」などの面から見て、設備投資関連指標に回復の兆しが生じていることも、日本経済を下支えする要因となろう。
◆日本経済の3つのリスク要因:日本経済のリスク要因としては、(1)原発停止に伴う生産の低迷、(2)世界的な金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ、(3)円高の進行、などに留意が必要である。仮に、わが国で全ての原発が停止した場合、実質GDPに対しては1%以上の低下圧力がかかる可能性がある。他方で、現状の米国では、世界大恐慌期やわが国の平成不況期とは異なり、(1)政策対応が迅速、(2)労働市場が柔軟、(3)金融システム不安が後退、などの理由から、財政・金融面の「出口戦略」を急ぐことがなければ、「デフレスパイラル」を伴う様な「長期構造不況」は回避される公算が大きい。ドル円相場は、当面、円高・ドル安圧力がかかり易い状況が継続するものの、向こう半年~1年超のタイムスパンで見れば、緩やかな円安・ドル高基調に回帰する見通しである。
◆「欧州ソブリン危機」が日本経済に与える影響:上記(1)~(3)の中で、最大のテールリスクが「(2)世界的な金融市場の混乱を受けた海外経済の下振れ」であることは言うまでもない。当社は、欧州諸国の国債のヘアカット率に関する3つのシナリオを設定した上で、日本経済に与える影響を算定した。シミュレーション結果によれば、最悪のケースでは、わが国の実質GDPは4%以上押し下げられる可能性がある。試算結果については、相当程度の幅を持って見る必要があることは言うまでもないが、今後の「欧州ソブリン危機」の展開次第では、日本経済が「リーマン・ショック」並の打撃を受けるリスクが生じよう。さらに、「欧州ソブリン危機」が深刻化すると、グローバルなマネーフローが「逆流」し、アジアを中心とする「新興国」の株価が暴落する可能性もある。こうした事態を回避する為に、欧州諸国には、「ポピュリズム」の風潮に流されることなく、財政規律を着実に回復させることが強く望まれる。
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