生成AI時代の景気判断とテキスト経済指標

~望まれる公的な経済テキストデータの提供基盤~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載

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サマリー

景気判断では伝統的に、経済統計の数値だけでなく企業や消費者等の「生の声」が重視されてきたが、その公表は要約形式に留まるものが多く、かつ、テキスト分析による継続的で高精度な定量分析も技術的に難しかった。しかし、2010年代末からは技術の発展に伴い、経済状況を文章で記述した「経済テキストデータ」を解析して経済指標を作成する試みが本格化してきた。足元では生成AIの発展を受け、より低い負担と高い精度で、文章の分類や、判断理由、先行き、見通し等の抽出が可能になりつつある。

こうした指標は、①新たな問いへの応用可能性、②程度・確信度等の測定、③背景事情との接続性、④フォワードルッキングな情報の取得という利点を持ち、既存統計を補完して金融資本市場の景気判断や政策当局の迅速な対応に資する。一方、民間ビッグデータには提供停止リスクやサンプルの偏り等の課題があり、月次で多数のコメントを公開する内閣府「景気ウォッチャー調査」のような公的な経済テキストデータの基盤拡充が望まれる。

政府は、公的な経済テキストデータの提供に向けて、役割をデータ基盤の整備に絞り、指標作成は民間等に委ねつつ、まずは既存統計への自由記述欄の追加等の小規模な試行から検証を進めていくべきだと考えられる。

大和総研調査季報 2026年秋季号Vol.64

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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