日本は「中技術国の罠」から抜け出せるか

~R&D投資規模より配分の転換を~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載

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サマリー

日本のR&D投資総額は2024年に名目22.1兆円、GDP比3.6%と主要先進国の中でも高い水準にあるが、生産性の水準や伸び率は低い。この矛盾の背景には、投資配分がある。日本や欧州はR&D投資の約半分が自動車関連などの「中技術」に配分されており、特に日本は「中技術」に偏っている。「中技術」では売上規模が拡大しても利益率は改善せず、既存の産業構造から抜け出せないと生産性が低位にとどまる可能性がある。日本企業の開業率・廃業率は欧米の半分にも満たず、新興企業でさえ機動的なR&D投資をしていない。

高市政権のイノベーション政策は、17の重要技術領域やAI・量子・半導体など6つの国家戦略技術領域、SBIRの抜本強化、AI for Science、研究設備の共有、人材育成などを進める点で方向性は正しい。しかし、配分を測る指標、開業率の目標、撤退規律、高度外国人材の定着への言及がない。R&D税制の「増分型×還付型」への組み替え、調達出口に関する「金額のコミットメント」への変更、高度外国人材の定着と集積の促進、そしてR&Dプロジェクトマネージャーへの権限委譲とサンセット条項の導入ができれば、日本が「中技術国の罠」から抜け出す重要な政策手段となりうる。

大和総研調査季報 2026年秋季号Vol.64

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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