サマリー
◆【7月金融政策決定会合】2024年7月30日、31日に開催した金融政策決定会合において、日本銀行(以下、日銀)は前回の会合で予告していた長期国債買入れの減額計画(以下、減額計画)を示した。さらに、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げることを決めた。日銀は先行きの追加利上げを示唆するなど、金融緩和の度合いを縮小する姿勢を明確に示した内容であった。
◆【長期金利への影響】減額計画期間における日銀の保有国債残高の減少が長期金利に与える影響を試算すると、24年度末時点で0.04%pt程度、25年度末で0.15%pt程度の上昇圧力がかかるとみられる。もっとも、長期金利により大きな影響を与えるのは短期金利の動向だ。当社の短期金利見通しに従えば、「短期金利引き上げ要因」によって、長期金利には24年度末時点で0.22%pt程度、25年度末で0.47%pt程度の上昇圧力がかかるとみられる。
◆【実体経済への影響】長短金利の上昇がなかった場合と比較し、実質GDPは2026年1-3月期時点で0.1%程度押し下げられると試算される。長期と短期の金利上昇はいずれも実質GDPを下押しするが、影響は短期金利の方が大きい。イールドカーブの起点である短期金利は貸出金利など種々の金利に波及しやすいほか、期間別貸出のボリュームゾーンも短期に集中しているためである。需要項目別には設備投資の下押しが大きくなると試算される。
◆【金融政策見通し】日銀は経済・物価情勢を注視しつつ、2025年1-3月期に短期金利を0.50%に引き上げ、その後は年0.50%pt(年2回)のペースで追加利上げを行うと当社では見込んでいる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
日本が取り組むべきは「現役期」の格差是正
給付付き税額控除と所得税改革などで貧困層を支えよ
2025年08月25日
-
2025年7月全国消費者物価
単月で見れば弱めの結果も上昇基調は引き続き強い
2025年08月22日
-
2025年7月貿易統計
トランプ関税や半導体関連財の需要一服で輸出金額は3カ月連続の減少
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日