サマリー
◆2023年3月の完全失業率(季節調整値)は2.8%と2カ月連続で上昇し、2021年11月以来の高水準となった。内訳を見ると、失業者数は2カ月連続で増加し、就業者数は2カ月ぶりに増加した。非労働力人口は2カ月ぶりに減少した。失業者の内訳を見ると、「非自発的な離職」と「自発的な離職」が増加した。後述する求人倍率の低下も踏まえると、雇用環境の回復は一服したといえよう。
◆2023年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.32倍と3カ月連続で低下し、新規求人倍率(季節調整値)は2.29倍と2カ月連続で低下した。新規求人倍率では求職側・求人側いずれも減少したが、求人側の減少率が求職側のそれを上回った。「製造業」などで新規求人数が減少した。
◆先行きの雇用環境は経済活動の正常化の進展に伴って緩やかに改善しよう。ただし、転職活動や労働参加の活発化によって失業者が増加する可能性がある。また、人手不足の深刻化を受けて有効求人倍率は緩やかに上昇しよう。一方、外需縮小などの影響による製造業を中心とした雇用環境の悪化には注意が必要だ。
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