サマリー
◆生成AIの登場により、企業のAI利活用の重要性が高まっている。これに伴い、AIを効果的に活用するための環境整備「AI-Ready」が急務となっている。日本では2019年以降、官民でこのAI-Readyが推進されてきたが、生成AIのビジネス活用が急速に広がりつつある2025年半ば現在、ようやくこの概念の重要性が具体的に認識されつつある。
◆ただし、企業現場では依然としてAI-Readyが不十分であるケースが多い。特に中小企業では、AI導入に向けた人材・資金・知識の不足が障壁となっており、企業規模による格差が顕在化している。また、AI導入済みの企業においても、利活用は個人や部署単位にとどまり、全社的な活用体制が整っていない状況が続いている。
◆効果的にAIを利活用するために必要となるAI-Readyは、DXを実現する上でも中核的な役割を果たす。AI利活用をDXの3つの取り組み段階にあてはめると、①デジタイゼーション(業務のデジタル化)はAI利活用に必要なデータ整備に、②デジタライゼーション(業務の効率化)はAI利活用による業務の自動化や支援に、③デジタルトランスフォーメーション(ビジネスモデルの変革)はAI利活用による価値創出や意思決定支援に通じる。AI-Readyは、これらのうちDXの土台となる①②の重要な段階を担う。
◆DX推進の過程では、企業はこれまで「業務のデジタル化=DX」と誤解し、部分最適な取り組みにとどまることが多かった。しかし、AI利活用の成功には、こうしたDXの教訓を踏まえた戦略的な推進が不可欠だ。まずは、技術導入だけでなく、経営層による全社的な方向性の提示、人材育成、組織文化の醸成といったAI-Readyの実現が求められる。特に中小企業では、DX同様にAI導入が進展しておらず、政府や支援機関による理解促進、技術支援、人材育成等、企業規模に応じた支援策の充実が急務である。AIはDXの遅れを挽回し得る技術であり、企業変革の鍵を握る存在として、本質的な変革に向けた準備と支援が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月消費統計
財とサービスいずれも強く、総じて見れば前月から増加
2026年01月09日
-
消費データブック(2026/1/6号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年01月06日
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日


