サマリー
◆円安や資源高を背景に輸入価格が高騰しているが、他方で輸出価格の上昇が鈍いことも問題である。原材料価格が上昇する中でも、日本の輸出企業は価格転嫁に消極的だ。日本は産業内貿易における地位の低迷によって価格支配力が低下したが、その背景には国際競争の激化や製品差別化の停滞がある。
◆アジア諸国はこの20年ほどで技術力を大幅に向上させ、日本の「分業パートナー」から「競合相手」へと変わった。また、日本と産業構造が近いドイツや韓国に比べ、日本の輸出財の製品差別化は停滞している。日本は輸出財の多様性で見劣りするのみならず、品質の高さという優位性も失いつつある。
◆輸出競争力を強化するために特に注力すべき産業を定め、設備投資のほか、人的資本や研究開発などの無形資産投資の拡大を官民が協力して推進する必要がある。この点、岸田政権が2022年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」ではこうした観点が欠けている印象を受ける。輸入インフレに対する日本経済の脆弱性が浮き彫りになったことで、中長期的な視点に立った輸出構造の転換の重要性は一層増している。
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