サマリー
◆社会保障給付費は2020年度で106兆円と、30年間で2.6倍に増加した。名目GDPが同期間で1.1倍の増加にとどまったことに鑑みると、経済規模対比で見てもかなりの伸びである。家計の社会保険料負担率も上昇の一途を辿っている。働き手の手取り所得は社会保険料負担で長期に伸び悩んでおり、個人消費の低迷の一因になっている。
◆社会保障給付費や保険料負担を長期的に見通すと、医療・介護分野の動向が一段と重要になる。CPIで実質化した2040年度の医療・介護給付費は2020年度に比べ、それぞれ1.3倍、1.5倍に増加する見込みである。家計の医療・介護保険料負担率は同1.4倍に高まる見通しだ。
◆全世代型社会保障の実現には、①「経済成長」と「給付抑制」を同時に取り組むこと、②将来推計を通じて必要な改革の規模を把握し、改革メニューに適宜反映、③応能負担の徹底とともに、財政の再分配機能を強化(プッシュ型給付の実現)、④EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)により有効性を高めた少子化対策の推進、⑤安定財源の確保、が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月貿易統計
主力の米国向け自動車の輸出が急回復し、貿易収支は黒字に転換
2025年12月17日
-
2025年10月機械受注
民需(船電除く)は2カ月連続で増加、基調判断は上方修正
2025年12月17日
-
音声生成AIが生み出す“声”の新たな価値
AIによって生成された自分の声の権利をどのように守るべきか
2025年12月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

