サマリー
◆【企業部門】2021年7月の輸出や生産は減少した。輸出数量指数は前月比▲1.9%と2カ月ぶりに低下した。EU向け(同+12.3%)は経済活動再開の本格化を受け上昇したものの、米国向け(同▲2.1%)やアジア向け(同▲1.6%)が低下した。鉱工業生産指数も同▲1.5%と2カ月ぶりに低下した。半導体不足や感染拡大に伴う部品調達難などの供給制約を受け、自動車工業(同▲3.3%)が低下したことが全体を押し下げた。
◆【家計部門】2021年7月の消費と雇用は指標によりまちまちの結果となった。二人以上世帯の消費額は前月比▲0.9%と3カ月連続で減少した。一方、雇用関連指標では、完全失業率が2.8%と2カ月連続で低下し、有効求人倍率は1.15倍に上昇した。東京都に4回目の緊急事態宣言が発出された中でも、雇用環境は改善したといえよう。また現金給与総額も前年比+1.0%と5カ月連続で増加した。残業時間が減少した前年同月の裏の影響で所定外給与(同+12.2%)は3カ月連続の2桁増となった。ただし、「飲食サービス業等」などでは所定外給与が前年同月からさらに減少しており、回復の度合いには業種間で大きな隔たりがある。
◆【四半期指標】2021年4-6月期の法人企業統計によると、売上高は前期比▲0.1%、経常利益は同+1.8%と、減収増益となった。経常利益を業種別に見ると、製造業は同+7.4%だったものの、非製造業はサービス業に含まれる純粋持株会社の減益を受け同▲1.9%となった。また設備投資(ソフトウェア除く)は全産業(金融業、保険業除く)で前期比+3.2%となった。設備投資は製造業・非製造業ともに増加し、全体に回復の兆しがみられる。この法人企業統計の結果などを受け、2021年4-6月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率+1.9%(前期比+0.5%)と上方修正された。民需関連項目の多くが前期から増加しており、厳しい感染状況の中で景気が緩やかに持ち直したことが改めて確認された。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
-
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
日本経済見通し:2025年1月
2025~34年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2025年01月24日
2025年、インドの消費回復の行方は?
都市部中間層の消費回復がカギ。2/1発表予定の予算に期待
2025年01月23日
グラス・ルイスの議決権行使助言方針改定
2025年以降の株主総会に適用する助言方針改定はほぼ既報の通り
2025年02月04日