サマリー
本稿では「コロナ禍」「感染収束前後」「ポストコロナ」という3つの時間軸で消費動向を分析し、将来を展望した。コロナショックが消費にもたらした変化として、「サービス消費の減少」「在宅需要の高まり」「プチ贅沢志向の強まり」「インバウンド消費の消失」などが挙げられる。こうした変化は感染が収束へと向かう中で徐々に巻き戻されていくと考えられる。
ただし、感染拡大下で広まった新たな働き方や生活スタイルは感染収束後にも一定程度定着しよう。テレワークの普及は通勤時間の減少を通じて在宅型の余暇時間を増やし、関連する消費を押し上げる可能性がある。一部の世帯では、夫のテレワーク活用が夫婦間の家事・育児分担を進め、妻の就労を促進する面があり、所得増に伴う消費増が期待できる。
また10 年後の消費を見通すと、人口動態の変化により在宅需要が高まり、サービス消費から財消費へのシフトが生じるなど、コロナ禍と似た変化が見込まれる。そのため、コロナショックに対応するために企業が商品やサービス、ビジネスモデルなどを見直したことは決して無駄にはならず、ポストコロナの時代に活用することができるだろう。
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