サマリー
◆2021年4月1日の改正高年齢者雇用安定法の施行により、従業員に対する70歳までの就業確保措置を講じることが事業主の努力義務となった。この措置の導入推進は、政府が60歳以上定年制や65歳までの雇用確保措置の導入を推し進めてきた過程の延長線上にあるものの、年金の支給開始年齢の引き上げを背景にしていない点や雇用に依らない就業確保策が認められている点に相違がある。
◆65歳までの雇用維持確保措置が普及した際の経験に鑑みれば、70歳までの就業確保措置の導入が進む過程では、65~69歳の就業率が上昇したり、失業率が低下したりする公算が大きい。就業者の中では非正規雇用者が増加しよう。ただし、同措置が努力義務にとどまり、また措置の対象者を限定できることを勘案すると、そうした変化は当面緩やかなペースにとどまるとみられる。
◆60歳代後半の就労拡大には課題も多い。高年齢者は現役世代に比べて感覚機能や能力、体力が低下する傾向にあり、個人差も大きい。職場環境の整備や、各人の健康状態に見合った柔軟な働き方が定着することが肝要だ。また、継続雇用下の処遇悪化が高年齢者の就労意欲を押し下げてきた面があり、同一労働同一賃金の徹底や成果に応じた賃金水準の見直しなどの対策が必要になりそうだ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
「過去最大の経常収支黒字」に潜む課題
企業の「海外で稼ぐ」姿勢を反映し、投資収益の寄与が拡大
2026年04月16日
-
2026年2月機械受注
船電除く民需はコンセンサスに反して大幅に増加し、過去最大に
2026年04月15日
最新のレポート・コラム
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
「過去最大の経常収支黒字」に潜む課題
企業の「海外で稼ぐ」姿勢を反映し、投資収益の寄与が拡大
2026年04月16日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
地域別にみた中小企業の資金調達環境
信用保証協会保証付き貸付の相対的市場シェアに着目した競争圧力の検討
2026年04月15日
-
ホルムズ海峡封鎖で変わる世界地図—改めて問われる「成長投資」とは?
2026年04月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

